2013年5月24日金曜日

人間味


 怖い人、いやな奴に見えて、実はいい人みたいな描き方がどこにでも顔を出す定型のようになって、そのことがあまり快適ではないのだけれど、今シーズンの「ガリレオ」もそちらの類かなという感じ。科学の良さとか価値を、科学者の人間味にずらしてほしくないと願っているので、湯川先生には前シーズンのときのように、いやみな奴でいてほしい(吉高演じる岸谷さんにも、こういうキャラクターを登場させるのなら、そのポジションでいやな奴でいてほしかった)。

「いやな奴だけど、状況によってはその見解に耳を傾けなければならないことも多々ある」と思わせることが科学のスタンスとしては王道で、「科学っておもしろ~い」とか「科学って身近で役に立っているんだ」とか、「科学者も人間なんだ」とか、ましてや「科学者ってかわいい」とかでは、科学のほうへ人を振り向かせる分には必要かもしれないけれど、それで科学を、まずは離れるべき人間味(あるいは人間的な都合)のほうに取り込んでしまう(あるいはそちら側にあることを期待させる)だけのことになったのでは、本末転倒ではないかと心配になる。

「ガリレオ」というドラマがもともと、私が思うような科学の姿を伝えることを意図しているわけではないのだろうから(湯川先生はあくまで、人間世界の中で科学者という職業についている人間であって、科学の体現ではないのだろうから)、そんなことでドラマを評価するのは見当ちがいというのはわかっているけれど、こんなところを期待して見る者もいるということで……

 同時期に「お天気お姉さん」というのが出てきて、こちらはまだ非人間的な存在を通してくれているけれど、何やら、この人がこうなった事情みたいな人間味の部分もにおわせているようで、最後にはそちらへ行ってしまうのかなと半分あきらめつつ、でも「ガリレオ」もこれも見ている。

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