2013年10月27日日曜日

「注目を集める」?

 ここのところアナウンサー(私がよく聞くのはNHK)がやたらと「注目を集める」と言っているのが気になる。いつも校正の方々から多々つっこみの入る身としては、他人様の言葉づかいをとやかく言うのは気が引けるけれど、とくに誰かがつい、というより、ニュース原稿や特集番組のナレーションでこの言いまわしを使うことが方針になっているみたいに、やたらと耳にする。

 いくつか辞書を見ても、「注目を浴びる」、「注目される」という用例はあるけれど、「注目を集める」の用例はまだ見ていない。「耳目を集める」、「関心を集める」はなじんでいるが、「注目を集める」は、「注ぐ」の部分が「集まる」に重なって、耳障りなのだろうと、自分では思う(映画の「舟を編む」で見た言葉を集める人々からすれば、これこそ用例のうちということになるのだろうけれど)。

 もっと言えば、この言い回しがやたらと使われることが気になるんだろうと思う。もともと「注目を集めて」いることを取り上げるのがニュースや特集番組だとすれば、それをわざわざ「注目を集めています」と言うのはくどいとか、逆に、自分が目をつけたことを「注目を集めています」と言って客観的なふうを装うという様子が鼻につくとか、そんな感じが伴うから、よけい、言葉としておかしいと感じてしまうような気がする。

 あらためてい言うと、振り返ってみれば、自分でもその種のことはやっているんだけれど、尽きせぬ自戒の種として、気になる(障る)ということで、悪しからず。