2013年5月17日金曜日

ケプラーが……


 ケプラー探査機が故障とのこと。当初予定の観測期間は終えかけていたので、観測成果について大損害ということはないと思うが、系外惑星の探査ではなかなかの活躍で、象徴的な存在だったという意味では、やはり残念(拙訳にはこの方面の話も多いので、そちらの面でも痛い;)。一方では、ケプラーが活躍したおかげで出番がなくなりそうだった計画もあったりするので、あらためてそういう計画が日の目を見るということもあるのかもしれない。

 系外惑星探査は、目に見える成果が地球型惑星の発見、あわよくば生命の発見ということになるので、そちらに引きつけて取り上げられるけれど、そうすんなりとそこへ進める話ではないのは、iPS細胞の応用と同じようなこと(でもそれを謳わないとなかなか精神的・経済的支持も集まらないという面でも似ているかもしれない)。先が長いだけに、ここは残念に思いつつも、永遠にもつわけではないケプラーばかりに依存しない探査の進行があることを(あせらずに)願う。

 先が長いということで言えば、ケプラーは予定期間終了目前だったとはいえ、資材の補給や修理が可能なら、もっと使えるわけで、むしろそれができないことのほうを残念に思うべきではないかと思う。

 火星へ行くという話があるけれど、それより宇宙に置いた施設を継続的に使えるような保守補給のシステムを作るほうが先なんじゃなかろうか。恒常的なステーションをだんだん地球から遠いところへ置いていって、ふだんは保守作業の拠点としつつ、実績を積みながら、火星へのベースキャンプとしても使えるようにして、それをだんだん広げた先に「火星」という当面のゴールを考えていいんじゃないかと思う(これができるには、文明のレベルがタイプIを超えてタイプIIへ進む途上にないといけないかも)──でもやっぱり、そういう地道な積み上げの方針では、なかなか支持が集まらないのだろう。

 宇宙はとてつもなく広い。だからものによっては1000年単位で構想し、進めなければならない話もあるだろうに(それでも宇宙的に見れば一瞬のこと)、せいぜい10年20年の単位でいきなり火星となるのが、まだ宇宙はよくわかっていないことを示しているように思う。


 

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